2014年秋に東京・日本橋で開催された書家 泉田佑子さんの展覧会「白の世界ニイガタ」に携わったご縁で、「Webサイトも『白の世界』の感じで!」という嬉しいリクエストを頂き、泉田さんが主宰する「墨遊(ぼくゆう)はちまき屋」のWebサイトリニューアルをお手伝いしました。
泉田さんは2014年、加茂市に「ギャラリー宙(そら)」をオープンし、ご自身の書作品を常設展示しています。僕が初めてギャラリー宙を訪れたときに思い浮かべた言葉は「白」「墨」、そして「浮遊感」でした。ほのかに墨の香りが漂うその空間は、小さいながらも「墨黒の宇宙」と表現するのがぴったりで、壁に掛けられた独創性あふれる作品に囲まれていると、縛られることのない自由な空間で心遊ばせることが好きな泉田さんのイメージが伝わってきました。
初代「十日町きもの女王」に選ばれるほどの才色兼備な書家…などと言うとなんだか近寄りがたいオーラを身にまとった女性を想像してしまいますが、泉田さんご本人は子どもからお年寄りまでたくさんの方に慕われるとても気さくな方です。そんな泉田さんにまつわる印象をひとつひとつ整理しながら、サイトの大まかなイメージを自分の中に組み立てていきました。
Webデザインは文字と絵(写真)を使って平面に表現するという点においてグラフィックデザインと共通しているものの、そこに時間軸が加わることで映像や音声を使った表現が可能になるところに面白さがあります。しかし、できるからと言ってなんでもかんでも詰め込んでしまっては伝えたい情報がぼやけてしまうし、Webデザインにありがちなカッチリしたレイアウトも泉田さんのイメージに馴染みません。泉田さんの書作品や世界観の魅力を夾雑物なく伝えることがなんと言っても最優先です。そんなわけで「なにも足さない。なにも引かない。」という有名なウイスキーのCMのキャッチコピーが制作中の僕の隠れたテーマでした。
墨遊はちまき屋のWebサイトを通じて、書家 泉田佑子さんの世界観や人柄の魅力をふんわりと感じていただけたら、とても嬉しく思います。ぜひ加茂市のギャラリー宙にも足を運んでみてください。