ジョーゼフ・キャンベル&ジム・モイヤーズ『神話の力』(早川書房)
2016年読書始めの一冊。
昨年の暮れに『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を観て、ジョージ・ルーカス氏に興味を持ったのが、この本に出会ったそもそものきっかけでした。ルーカス氏は映像制作会社「ルーカスフィルム」を約40億ドルでディズニーに売却し、『フォースの覚醒』の制作にはほとんど関与していない(脚本もボツにされた)のですが、そのことが逆説的にルーカス氏の創作に対する関心へと向かい、その原点についていろいろ調べているうちに神話学者のジョーゼフ・キャンベル氏にたどり着きました。
キャンベル氏は世界各地の神話の比較研究に多くの業績を残した神話学者で、その神話論をルーカス氏は『スター・ウォーズ』に採り入れています。作家の村上春樹氏も「キャンベルにはすごく教えられるところが大きかった。」とコメントするなど、物語を作る多くの作家にキャンベル氏の著書や思想は大きな影響を与えているようです。
『神話の力』は、ジャーナリストのビル・モイヤーズ氏を話し相手に神話の持つ力についてキャンベル氏が語った内容をまとめた本です。モイヤーズ氏はとてもすぐれたインタビュアーで、キャンベル氏の思想体系を踏まえつつ読者の疑問を抽出するかのように巧みに言葉を引き出すことに成功しています。
理解するのが難しい部分もありますが、多くの示唆に富んだ名著です。